愛しい人
真昼に緑の悪夢を見て 夕暮れにひとりでダンスした そして眠りに落ちながら 手を伸ばすのは 向こう岸 遠くて短い冷たい旅 一瞬と永遠が手をつなぐ 唯一の場所へ 悲しみを運ぶ汽車となる #
by idolater
| 2008-07-07 23:04
| ことば
もう午後に近い午前中の寝室
カーテン越しの薄暗い光の中 君の手を持ち上げて そう手というものは 腕というものは 想像以上に重いもの その手を持ち上げて、指を絡ませる けれども 君は夢うつつに 嫌がり振りほどいたから 逆の手も試してもみたけれど それもまた振りほどかれたから 私は仕方なく両の手を 光の届かない枕の下に入れて 安心を探す 枕の下には夜と同じ暗闇が広がる そして夜と同じ温度 ひんやりしていてあたたかく やわらかく腕を押し返す感触 もうすぐ午後になる じっとりと暑い午後になる もうその気配がすぐそこ カーテンのすぐ裏まで来ていて 存在を主張している おかいまいなしに眠る君 私は枕の下の世界から ひとり這い出して ドアの向こうへ歩きはじめる #
by idolater
| 2008-07-07 22:57
| ことば
特急列車に乗っていた
流れる外の景色は 青空 やがて雨に変わり やみ 夕日のオレンジが差し込み 夜になる 気がつけば 降りたい駅は遥かうしろ 僕は次の駅を待つ 駅舎が見えてくるが 止まらずに通過 また次の駅を待つ ずいぶん遠くまで来てしまった 列車はゆっくり停車する 見も知らぬ駅 見も知らぬ街 不安が体を躊躇させ 降り損なった僕を乗せたまま 列車はまた動き出す 何度の朝日を見ただろう 何度の夕日を見ただろう 雨は降り、そして止み 景色は早送りで過ぎていく 僕は特急列車に乗せられたまま 見失った僕の駅を探しているのだ #
by idolater
| 2008-02-29 12:00
| ことば
冬の匂いは傷ついている
降ってくるのは 土砂と塵 灰色の夕方 目はひらかず それでも 光を求める私たちは のんきで 馬鹿な 支配者きどり 後ろに迫るのは 思い出ではなく 見えない未来 私たちは振り向けない 確かめてはいけないの 追いかけてくる未来など #
by idolater
| 2008-02-03 23:22
| ことば
今日は雪が降った
とってもひさしぶりに 雪が降った 音のない雪の音楽 楽譜に音符を並べるように 雪は順序よくちっちっちっと地面に座っていく とん とん とん す す す ふわ ふわ ふわ 音のない雪の音 夕方六時半 水色だった雪は 今はもう真っ白 黒い夜のなかに 白い雪の音が響く #
by idolater
| 2008-01-29 00:32
| ことば
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